研修担当者のブログ
2021.06.05
新人介護職員をどう育てるか
こんにちは、ピーエムシーの斎藤です。
毎年春は介護現場の新人職員育成の時期です。
ピーエムシー では、介護現場の新人育成のための「100日プログラム」というOJT支援ツールをこの10年ほど展開しています。
【参考】https://www.pmc-jinzai.com/100daysprogrm/
このプログラムは 、 「100日間のOJTで、新人が夜勤以外の全てのシフトで独り立ちできるようになる」 ことを目標に介護事業所での新人育成を支援します。
指導担当者(以下「指導者」とします)やチームのメンバーが新人に関わりやすいよう、 新人と指導担当者(以下「指導者」とします)の現状と課題が「見える化」されるしくみになっています。
このプログラムを実際に運用してみて、私たちは指導者の負担感や役割の不明確さなどが大きな課題だと感じました。そこで、いくつかの法人で「指導者の支援プログラム(指導者研修)」を提案し実施しています。指導者研修は、新人への指導・支援の期間を1年と決めています。そのため、指導者研修は1回3.5時間、年間3回~6回のOff-Jtを提案して実施させていただいております。
今年度は新型コロナの影響でスケジュール調整も難航しましたが、6月現在、何とか初回の指導者研修が一段落しました。
初回の指導者研修で行っていることは、大きく三つあります。
一つ目は「100日プログラムの説明とチーム育成のお願い」です。
特に受け入れチームの職員さんに、いかに新人に関わってもらうか、チームメンバーにきっちりとお願いしてください、と指導者に依頼しています。
多くの介護現場で新人育成が指導者任せになっています。新人育成はチームでやることが大事で、そうすることで指導者の負担感が軽減し、新人・指導者・チームが成長できる貴重な経験にできると考えています。
しかし実際には、受け入れチームには多様な職員がいて、新人を指導する自信がない人もいます。
そこで、チームメンバーの役割の明確化、分担をお願いしてもらいます。ここは指導者とリーダーが協力して発信することで、チームへお願いとして浸透していくと考えています。
二つ目は「新人との関わり方」です。
指導者の「自己理解」と「他者理解」を促すための研修をします。
ここではエゴグラムやエニアグラム等を使って、「指導者の自己理解」そして「他者理解」を促します。
介護現場の職員さんは、他者からのフィードバックを受ける機会が少ないと感じています。
そして、自分が仕事を通して身につけた価値観を、客観的に評価する機会が少ないです。
ここで自分を客観的に振り返ることで、新人への関わり方が大きく変わってきます。
「価値観の違いを受け入れること」「お互いを尊重すること」そのうえで 新人にどう関わっていくのかを、具体的に考えて実践していきます。
【参考】http://www.egogram-f.jp/seikaku/
【参考】https://www.enneagram.ne.jp/about/diagnosis/dns01
三つ目は「仕事の教え方」です。
具体的には、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」について具体的に勉強します。
そして、部下指導の考え方のひとつである「SL 理論」を説明し、部下の成長の状況に応じて関わり方を変えるようお願いをしています。
ここまである程度理解できた指導者さんは、「新人にどのように関わったら良いか」がイメージできるようになり、すこし自信を持って新人育成にあたれるようになっていきます。
【参考】https://www.innovation.co.jp/urumo/open_ended_and_closed_ended_questions/
【参考】https://leadershipinsight.jp/explandict/sl%E7%90%86%E8%AB%96%E3%80%80situational-leadership-theory
ピーエムシーでは、リーダー育成と新人(指導者)育成を毎年1年間のスパンで行っており、少しずつプログラムやテキストを改善して現在に至っています。
今年度は受講生に配布するテキスト(通称サブテキスト)を、介護福祉士養成テキストの指導内容を参考に大幅に更新しました。
介護福祉士養成カリキュラムは2019年に大幅改定されて、「コミュニケーション」「チームマネジメント」等の項目が新たに入りました。中央法規のテキストでは、ここが「介護の理解」にまとめられており、とても分かりやすくて良い内容になっています。
【参考】https://www.chuohoki.co.jp/products/yousei/5761/
このサブテキストを使って、今年度は指導者研修の質をあげていきたいと考えています。
「テキストの標準化」「チームメンバーへの意識付け」を今年度の新人育成のポイントして、今年度取り組んでいきたいと思います。
※2021年6月7日、5~6行目の文章を修正しました。