研修担当者のブログ
2023.06.06
リーダー育成プログラムのキモ
「組織づくりの戦略と戦術」
今年度のチームリーダー育成プログラムがいくつかの施設ではじまりました。
ピーエムシーのチームリーダー育成プログラムは、法人のリーダークラス職員に対して、毎月一回、年間10回の集合研修を行うものです。
このプログラムの目的は、リーダーの意識の変容であり、具体的には「自己・他者理解」「フォロワーシップ理解」「アサーティブ・コミュニケーションの実践」です。
研修というとどうしても「座学」で「知識」を学ぶようなイメージを持たれやすいのですが、チームリーダー育成プログラムでは、知識だけでなくリーダーとして上司や部下とどう関わっていくのか、具体的なコミュニケーション技術を学びます。
年間10回の研修を通して
・「アイメッセージ」や「DESC法」などアサーティブ・コミュニケーションの技術を学び、
・日常の仕事場面で実践し、
・実践したことを記録し(プロセスレコードという様式を使います)
・自己評価、メンバーからのフィードバックなどのふりかえりを行います。
同時に、自部署の課題分析を行い、急ぎ対応すべき課題を検討して対応策を議論し、小さなPDCAサイクルを回します。
研修の中で受講者から語られる現場の課題は、施設が変わってもおおよそ共通しています。
・忙しい現場の中で利用者対応がおざなりになってしまうこと
・職員間の情報共有がうまくいかなくなってくること
・トップダウンが強く、現場の意見や思いがなかなか上司に伝わらない
などです。
現場の職員さんたちは、一人ひとりがいろいろな思いを抱えています。
「実践してきたことに対してのフィードバックがほしい」
「自分たちのケアは正しいのか、間違っているのか教えて欲しい」
「自分たちがやっている仕事の意味を感じたい」
など、色々な思いを持って仕事をしてくれると思います。
特に、新型コロナウイルスによるパンデミック以降は家族の来訪やボランティアの方たちの出入りも少なくなり、そのような中で大変な思いをしながら働いている現実があります。
介護の仕事は、利用者にありがとうと言ってもらえる「いい仕事」というようなことがよく言われますが、特別養護老人ホームに入所している利用者の中には言葉や表情で意思を表示するのが困難な利用者が多くいらっしゃいます。
また、認知症や脳血管疾患の影響で、職員に対して拒否的な言動をしてしまうことや、介護への抵抗が目立つ方もいらっしゃいます
そんな中でも多くの介護職が使命感を感じて一生懸命ケアをしています。そのことへの労いや共感の機会が、忙しい中で本当に足りていないと思います。
自分がやっている仕事にはどんな意味があり、誰のためになっているのか。これを承認し、言葉にするのは施設長はじめ、管理者のとても大事な役割だと思います
多くの現場で、介護現場のリーダークラス職員もこのような思いを抱えていると思います。
リーダーも一般職も同じレベルで苦しくて辛い思いを感じていて、施設長に対して「自分たちの事を承認して欲しい」と感じているのではないでしょうか。
しかし一方で、施設長だっていろんなこと沢山抱えて孤独に頑張っているわけです。
そこは、部下からは見えていない部分もいっぱいあって、溝が出来やすいところだと思います。
出来れば、リーダークラス職員は、もっと「施設長に近い視点」でチームのメンバーを見て、縦のラインでのケア(ラインケア)ができるようになってほしいと思います。
そのためには、まずはリーダーが対話の技法を身につけることが大切です。
アサーティブ・コミュニケーションやフォロワーシップを学ぶ事で、相手を尊重し前向きな対話ができるようになっていくと思い、プログラムの大きな柱に据えました。
縦のラインがきちんと通るような組織づくりにつながるよう、今年度もこのプログラムに取り組んでいきたいと思います。