研修担当者のブログ
2024.02.29
入所施設の人員配置見直しとSONPOケアの実証実験
2024年度の介護報酬改定において、一定の要件を満たしている介護事業所(特定施設など)で人員配置基準が緩和されました。人手不足と介護現場のICT導入に伴って、介護事業所の人員配置基準は少しずつ緩和されてきています。介護現場からは、当然強い反対意見が多く聞かれる中で、厚生労働省は人員配置基準を緩和できる根拠として、SOMPOケアが行っている実証実験においてICT導入後の業務時間が導入前の76%に減少したこと、よって現在の人員配置基準を緩和することは可能だと結論づけられたことが背景にあるそうです。
しかしながら、ICT導入による時間短縮効果は実際には全体の6%に過ぎず、17%は「Qライン」によるものだったことがこの記事では報告されています。
Qラインとは「クオリティーライン」の略で、介護施設の中で洗濯や掃除、 ゴミ捨て、配膳・下膳などの間接業務だけを専業で行う担当者のことを指しています。
間接業務の担当者は「介護職員」にカウントされていないため、見かけ上の人員配置の減少が実現されてはいるものの、実は17%の生産性向上部分は、全体の人件費削減や生産性向上につながったとは言えないということがこの記事では報告されていました。
SOMPOケアは、ICTの活用と業務の再構築により時間を創出し、高品質なサービスにつなげることが生産性向上や介護職の負担軽減につながると説明しています。しかし、ICT導入による直接的な省人化が実現できるわけではないことが実証実験から明らかとなり、人員配置基準の緩和は早計ではないかとのまとめがされていました。
この記事から、ICT導入だけでは介護現場の大幅な生産性の向上は難しいということがわかりました。
少ない人員で介護の現場でサービス提供を継続して行っていく為には、職員一人ひとりが自分で考えて、業務のあり方、優先順位、業務スケジュール等の見直し等を議論し、
「自分たちの現場を自分たちで変えていく」ことが何よりも求められていると思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。