研修担当者のブログ
2024.07.01
何を言っても響かない部下への関わり方
指導が徹底できていない状態でOJTを終了させてしまった場合に起こりえるのは、
新人職員を「自己評価と周囲の評価のギャップに気づかない」職員にしてしまうことです。
「まだまだ課題が沢山あるのに自分では出来ているつもり」の職員や、逆に「そこそこ出来ているのに自分の仕事ぶりに自信が持てず、いつまでも不安がいっぱい」な職員にしてしまうことです。
人は、自分が教わったように教えるので、指導に関する負の連鎖はどんどん広がってしまいます。
「自分では出来ているつもり」の職員が他者から適切なフィードバックを受ける機会なしに長く働いてしまうと、その職員は「自分を過大評価」してしまい、「自分が一番出来ている、周りが分かっていない!」という大きな勘違いを起こしてしまうことがあります。
これが心理学でいう「ダニング・クルーガー効果」です。
「ダニング・クルーガー効果」は、「能力が低い人ほど、自分の能力や状態を客観的に認知、修正する能力も低い」ために、自己評価と他者評価のギャップが修正できず、大きくなってしまう状態のことです。
このような職員に正しく自己認知してもらうためにはどうしたら良いのでしょうか。
「ネガティブフィードバック」の作者である難波猛さんは、職員の心に意図的に「認知的不協和」の状態をつくりだすことが必要だと述べています。
「認知的不協和」とは、「自分は出来ている、これで良いのだ!」という誤った自己認知と「あなたはそのままではだめなんですよ!」という周囲の認知のギャップを意図的につくりだすことで、このギャップをつくり新人職員に気づきを促し、行動変容につなげることができると述べています。
「認知的不協和」をつくりだすには、「自分は出来ている」と勘違いを起こしている新人職員に対して、「出来ているところもあるけれど、ここはまだ出来ていないように見えるよ?」と、思い切ったフィードバックを行うことです。なるべく具体的な事実を伝えることが大切です。
そして、もうひとつ大事なのが「オープンクエッション」です。これは5W1Hを使って相手に答えを考えさせる質問のかたちです。
例えば、新人職員から「はいはい分かりました!今後は利用者への言葉遣い気をつけます!」と言われたときに、「どうわかったのかあなたの言葉で話してもらえませんか?」とか「具体的にはどのような対策をとりますか?」など相手に言わせる作戦です。
介護現場でのOJTは、忙しいという事もあって、指導方法も一方通行になりやすいと思いますが、上記のようになるべく双方向のやり取りを増やしていく事が、職員を伸ばす育成につながると思います。是非実践してみてください。
ここまで読んでいただき大変ありがとうございました。